遅い時間まで続いた打ち合わせが終わり、ホテルのカードキーを通した瞬間、緊張の糸が少しだけ切れた。
それでも、頭の中ではさっきの議論がまだリプレイされている。
このまま眠ろうとしても、浅い睡眠を繰り返すだけだろう。
そう判断して、AND MORE SPA に再び連絡を入れた。
■01|第一印象:説明をしないまま、安心だけ置いていく人
ドアの前に立っていた澪(仮名)は、控えめな笑顔と落ち着いた声が印象的だった。
必要な挨拶だけを交わすと、それ以上多くを語ろうとはしない。
それでも、不思議と警戒心は湧かない。
言葉を増やさない代わりに、所作や距離感で「大丈夫ですよ」と伝えてくるタイプだ。
情報は少ないのに、信頼だけは先に積み上がる不思議なタイプ。
■02|施術序盤:音が一つずつ消えていくようなタッチ
うつ伏せでベッドに沈み、背中に手が置かれる。
その瞬間、空調の音や外の気配が少し遠ざかるような感覚があった。
圧は必要以上に強くなく、かといって軽くもない。
「今このくらいがちょうどいい」と身体が理解しているような強さだ。
澪さんは、ほとんど喋らない。
ただ、こちらの呼吸やわずかな動きを拾って、触れる方向やスピードを変えていく。
会話はないのに、対話だけが進んでいく不思議な時間だった。
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