会議と移動が続いた一日の終わり。
ホテルのカードキーを通し、ドアが閉まった瞬間にようやく一人の時間が戻ってくる。
ネクタイを外しても、頭の中では今日の議論がまだ再生されていた。
このまま浅い睡眠を重ねれば、翌日の判断精度に響くのは明らかだった。
そこで選んだのがアロマビューティーサロン。
静かで整った印象の返信に、心のどこかが少しだけ緩んだ。
■01|第一印象:言葉は少ないのに、“大丈夫だ”と思わせる人
ドアを開けると、詩音(仮名)が小さく会釈した。
声は落ち着いていて、こちらのペースに合わせる話し方。
「今日は、頭が先に疲れてますね。」
その一言以外、特に説明はない。
それでも、不思議と十分だった。
“分かってくれている”という感覚だけが、先に積み上がるタイプだと思った。
■02|施術序盤:余計な音を一つずつ消していくタッチ
うつ伏せになり、背中にオイルが落ちる。
圧は強すぎず、弱すぎず、今の状態に対してちょうどいいラインを狙ってくる。
詩音さんは、こちらから話しかけないかぎり多くを語らない。
代わりに、呼吸の深さや筋肉の微妙な反応を拾って、タッチの方向と速さを変えていく。
会話はないのに、コミュニケーションは続いている。
“触れ方の微調整そのものが対話になっている時間”だった。
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