あの日の夜を、今でもたまに思い出す。
部屋の時計の針が、22時を指したあたりだったろうか。
一人で過ごすには少しだけ寂しい、そんな時間。
「今日は、自分のために何かしたい」
そう思って開いたサイトの中に、
“落ち着いた大人のセラピスト”という言葉があった。
迷わず指名した。名前は、沢口えみさん。
■ 01|初対面〜印象
インターフォンの音は静かに響いた。
扉を開けると、柔らかい微笑を浮かべた女性が立っていた。
シンプルな黒のワンピースに、ナチュラルなメイク。
飾り気のないその姿が、逆に色っぽさを際立たせていた。
年齢は40代半ばくらいだろうか。
「こんばんは、沢口です。よろしくお願いしますね」
その一言に、なぜか少し胸が高鳴った。
■ 02|会話・接客・空気感
施術前のやりとりは、まるで古い知人と再会したような感覚だった。
押し付けるでもなく、沈黙を恐れるでもなく。
自然体のまま、ゆっくりと距離が縮まっていくのが心地よかった。
「お部屋、いい香りですね」
そんな何気ないひとことが、妙に嬉しかった。
彼女が場に馴染むにつれて、部屋の空気までもが柔らかくなっていった。
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